そうだ、標本つくろう
先日突然骨格標本を作りたくなり、せっかくだからと記録に残すことにしました。
・街中の一般家庭でもできる
・お金をあまりかけない
・簡単で初心者向き
をコンセプトにやってみました。
・骨格標本を作ってみたいけどどうしたらいいか分からない
・鶏の手羽とか豚足はちょっと求めてるのと違う…
という方の参考になれば幸いです。
※色々な情報を調べたうえでの自己流ですのであしからず
【目次】
1.準備
2.皮を剥ぐ
3.煮る
4.除肉
5.ポリデント漬け(科学的な除肉)
6.洗浄&漂白&消臭
7.水漬け
8.乾燥
9.組み立て(顎と歯の接着)
10.完成
1.準備
まず、必要なものをリストアップ。
クリックすると詳細や理由、おすすめのものについて解説が出ます。
標本にしたい動物の頭
ここが一番の難関かと思います。
ロードキル…を拾ってくるのは物理的にも衛生的にも倫理的にもハードルが高い場合が多いはず。
鶏くらいならお肉屋か通販でそのへんバッチリなのが買えます。
が、今回は哺乳類がいい(わがまま)
哺乳類となると豚も牛もデカいなぁ…高いなぁ…
そこで今回は、ネットで検索してジビエの通販をしている猟師さんから頭を購入してみました。
普段売り出していない商品ですが、希望部位あればお問い合わせくださいとの文言があったので
連絡し、無事キョンとアライグマの頭をGET。1頭2000円くらい。
やってみて思いましたが、頭骨初心者には鶏か、角のない小型の食肉目が一番やりやすいと
思います。
また、間違ってもこのためだけに動物の命を奪うとかはしないでください。
対象になってくれる動物に敬意をはらい、観察し、色んなことを学ばせてもらいながら
作業しましょう。
鍋
今回の方法ではホームセンターなどで売っているアルミの両手鍋(直径23㎝くらいのやつ)を
使用しました。お値段2000円くらい。
もし鶏とかアライグマ、タヌキくらいの大きさの頭だけなら、100均で売ってる
16~20㎝くらいの鍋で事足りるのでもっと安く済みます。
とにかく、今回作る頭の大きさに合わせた鍋を買いましょう。
今後色々作っていくなら始めから大きい鍋にしておいたほうが楽ではありますが…
あと、アルミ鍋の場合は重曹入れる方法をとれないのでご注意ください!
言うまでもありませんが、衛生上調理用の鍋と共用にしないようにしましょう。
メスやカミソリ、解剖ばさみなどの小型刃物
皮を剥ぐのに使います。最低限100均でも売ってる使い捨てカミソリ(7本くらい入ってる昔ながらのやつ)があれば剥けますが、替刃メスが圧倒的に便利です。
でかいアルミプレート
皮剥ぎのとき解剖台代わりに使用しました。
これも100均で買えますが、おすすめはダ●ソーの46×34×7㎝のやつです。
使い捨てにできるのと、防水なところ、刃物や骨の尖った部分で簡単に穴が
開いたりしないのが優秀。
最低2枚。複数あると便利。
プラスチックのバケツ
骨をポリデントや塩素、水に漬ける時に使います。
鍋を流用すると薬品とか使ったときによろしくないと思われるので、プラ製バケツが無難。
ゴム手袋
どうあがいても動物の血や肉、革、毛に触れるので、感染症予防に必須です。
また、刃物も扱うので怪我予防のためにも絶対つけるようにしてください。
排水溝ネット
薬品漬けや水漬けにするときに骨がバラバラになって紛失しないように包むため使います。
大きいほうが使いやすいです。
薬品類
今回はポリデント(酵素入り)、キッチンハイター、食器用洗剤の3つを使いました。
ポリデントは細かい部分や内部の除肉用、ハイターは漂白と消毒&消臭用、食器用洗剤は途中での
清掃と脂取り用です。
割りばし
煮た後脳みそを穿りだすのに使います。中に軟組織が残っていると後々地獄を見るので割と大事…
ラップ
漬けている間の臭い防止に活躍します。クレラップがおすすめ。
接着剤
グルーガンや木工用ボンド、瞬間接着剤など。抜けた歯や外れた下顎の固定に使います。
その他
汚れたときさっと清掃するためのティッシュや使い捨てしていいスポンジ、作業した場所の
消毒用アルコールスプレーなどもあると良いでしょう。
あとはカセットコンロなどもあるほうが、より衛生的に良いかと。
なにより大事なのは家族からの骨格標本づくりに対する理解です。
計画段階でちゃんと家族に相談しておきましょう。
☆トータルで2000円くらい~1万行くか行かないかくらいだと思います。
2.皮を剥ぐ
準備物をそろえたらいよいよ作業開始です。
基本的にキッチンやリビングなど普段の生活(特に食事や料理)と共通の設備は使わないほうが良いのですが、一般家庭では完全分離は難しいと思いますので、血が付いた手のままあちこち触らないことや、作業後にしっかり清掃・消毒することを心がけましょう。
また、ここからグロテスクな写真も出てきますので、苦手な方はご注意ください。
心の準備大丈夫ですか?
今回骨になる子たちはこちら

さすが食肉用になるキョンたち…の頭ということで、鮮度がいい。
全く臭くない。
ロードキルやビーチコーミングで拾ってきた死体ではこうはいかないので感動。
首側の切断面など、手の付けやすいところから剥いでいきます。
片手で皮を引っ張り、テンションがかかった皮と肉の間にメスの刃を滑らせていきます。
うまく薄い膜のような部分(ちょっと繊維っぽかったりもする)をサリサリなぞっていくと
どんどん剥げていきます。
耳の軟骨や鼻先は硬骨を削ってしまわないよう気を付けつつ耳管や軟骨はバッサリいってしまいます。
瞼や唇も慎重に剥いでいきます。
特に皮を残したいのでなければ、適度に切れ目を入れたほうが剥ぎやすい場所もあったり。
角の付け根や歯茎などどうしても剥ぎづらい部分は残してしまっても後の煮沸で除去できるので、
とりあえず「毛皮」の部分をできるだけ取り除きましょう。


アライグマの脳天に内出血があるなぁ…とか、キョンの牙すご…とか、眼下腺もう一個目玉入りそう…とか、やっぱ上の前歯無いんだなぁ…とか、観察しながら剥いていき、こうなりました。


3.煮る
用意した標本用の鍋に皮を剥いた頭を入れ、しっかり漬かるようたっぷりの水を入れて火にかけます。
頭の大きさにもよって肉がほぐれるまでの時間は変わるので、煮崩れ過ぎないよう様子を見ながら煮ます。
基本的に、沸騰したら弱火にしてじっくりコトコト煮るのが一番いいです。
角煮とか牛スジ煮込みみたいなイメージ…
キョン2頭のときは、3~4時間くらい煮たらホロホロになりました。


4.除肉
煮た頭を取り出して触れる程度に冷まし、肉を取り除きます。
うまく煮えていたら手でほとんどペロッと取れます。
ぶっちゃけ先に生の状態で取れるところ取ってもいいんですが、こっちのほうが楽だと思います。
煮足りないと全然肉がとれず大変&この後のポリデント漬けでひどい臭いになるので、
無理そうならもう一度じっくり煮たほうが賢明です。
ちなみにこの段階でのニオイはなんとなくツナとか缶詰っぽい。
またこのタイミングで割りばしと流水を用いて脳みそも穿っておきましょう。
中に脳などの軟組織が残った状態だとこの後漬けの段階でめっちゃ臭くなります。
なお、湯や脳みそを流したりしたシンクはしっかり清掃しましょう。



5.ポリデント漬け(科学的な除肉)
煮たことでほとんどの肉は取れましたが、まだ内部や細かいところに肉と脂がついていて、
このまま乾かすのではただの臭くて不衛生な骨になってしまいます。
そこで、肉=たんぱく質を溶かすポリデント溶液に漬けてさらにきれいにしていきます。
準備のところでも赤字にしましたが、かならず「酵素入り」のポリデントを使ってください。
除肉した骨を排水溝ネットに入れます。
1枚で収まりきらないなら2枚使いで包みます。
これによって、小さい歯や細かいパーツが行方不明になるのを防ぎます。

プラスチックのバケツにネット入りの骨を入れ、40度~50度くらいのお湯を注ぎます。
骨がしっかり漬かったら、ポリデントを適量(私は大体12錠/2Lくらい入れてました。)投入します。

ポリデントのさわやかな香りが広がる…のは最初だけで、このあと何日も漬けている間に溶けたタンパクなどの独特な臭いがします。そこで、ラップでフタをすると臭いの拡散防止と液の蒸発防止になります。

そのまま1週間~数カ月漬けておきます。
水に漬けておくことによる脂抜きも兼ねて、私はこの状態で長いこと放置しています。
アセトンなどの化学薬品を使うよりも危険が少なく、金銭的にもライトで、骨へのダメージが少なく、脂がしっかり抜けるので、時間はかかりますが「水に長時間漬け」が個人的に最強だと思います。
6.洗浄&漂白&消臭
ポリデント漬けをしてある程度たったら、液を捨ててネットから取り出し、食器用洗剤と流水で一度きれいに洗浄します。
このころには残っていた軟組織も溶けているかグズグズになっているはず。
※もし不十分そうなら、5の工程をもう一度してもいいです。
また、このタイミングで歯が数本抜けたりするので、そうした歯も流れて行ってしまわないよう気を付けて回収しておきましょう。
抜けた歯は根元に赤い軟組織などが残っていなければそのまま乾燥させて大丈夫です。
骨、バケツともにポリデントの廃液と洗剤をきれいに流し終えてから、
骨を再び新しい排水溝ネットで包んでバケツに入れます。
その後漬かるくらいの水を入れて、キッチンハイターを適量(普通のバケツならキャップ1杯で十分だと思います)回し入れます。
ラップでフタをして、1~3日程度漬けておきます。
鶏など小さい骨の場合は早めに引き上げたほうが良いです。
7.水漬け
ハイター漬けが終わったら、再び流水や食器用洗剤でハイター液と脂や細かい軟組織をきれいに洗います。
この時点で骨がきれいに白くなっているならいい調子。
まだ白くなりきっていないとか、ひどく臭うなら、もう一度ハイターしてもいいかもしれません。
ただし、ハイターは骨も傷めるので、明らかに骨がもろくなっているようなら追加のハイター漬けはやめておきましょう。
流し終わったら、再びネットで骨を包んで数日~数カ月水に漬けておきます。
期間はその時の骨の状態や、自分がどこまで脂を抜きたいかなど鑑みて様子を見ながら行ってください。

8.乾燥
水から骨を引き上げ、すすいでから乾かします。
空になったバケツに入れて、バケツごと乾燥させてもいいですが、干物用のネットを活用したり洗濯ネットに入れて吊るしてもいいでしょう。
水から出した時点では少し骨の独特な臭いがしますが、乾くと気にならなくなることも多いです。

9.組み立て(顎と歯の接着)
すっかり乾燥したら、外れたパーツの接着と組み立てを行います。
哺乳類の場合、この時点で大体下顎が左右に分解しているので、外れている部分(=前歯の真下)にグルーガンを垂らし接着します。
木工用ボンドなどでもいいのですが、軟組織分の隙間を埋められることと、ズレたときに修正しやすいこと、すぐに固定されることから、ここに関してはグルーガンが特におすすめです。
次に抜けた歯ですが、いきなり接着してしまうと歯をはめる場所を間違えていた場合取り返しがつかなくなります。
そのため、先に一旦すべての歯をはめてみて、どれがどこの歯か確認しましょう。
なお、元々軽く引っ張っても抜けない奥歯などはそのままでいいです。

確認ができたら、順番が崩れないようにそっと抜いて並べて

木工用ボンドを少量穴に入れて

さっき抜いた歯を再び順番通り刺します。
その状態で一晩ほど乾かして…
10.完成

下顎と上顎を合体させて…無事完成!
学名とか採取地とか作成者描いたタグも付けると色んな意味で最高
というわけで、時間はかかりますが比較的臭いも少なく、身近なものだけで安全に頭骨の骨格標本ができました。
除肉が比較的簡単で、細かすぎる作業が少なく、歯をはめる場面で適度にパズルもできるうえ、何より完成品が骨!!って感じ強くてモチベも上がるので、頭骨での骨格標本作製は初心者の方非常におすすめです。
完成品は自分(ヒト)と比べてみたり、ペットと比べてみたりしても楽しく発見がたくさんあると思います。
ぜひ皆さんも挑戦してみてください。


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