卵巣と卵管(ニワトリ)

生殖器

ニワトリの卵巣と卵管(産卵期)
ニワトリの卵巣と卵管(産卵期・開いた状態)
ニワトリの卵巣と卵管(非産卵期)
ホロホロチョウ・ニワトリ。ウズラの卵管各部位の比率の比較
緑→漏斗部、橙→膨大部、青→峡部、桃→子宮部、黄緑→膣部

ニワトリの卵巣と卵管のイラスト。
物価の優等生、たまご(鶏卵)。料理やお菓子、時には医薬品、私たちの暮らしに大きく貢献してくれているこのたまごは、当然ひとつひとつ親であるトリたちが産んでくれている。
たまごを産むために特化した家禽である採卵鶏では、(管理がうまくいって素質もあれば)年間300個近く産卵する。
もちろん毎日5個も6個も産むのではなく、産卵は日に1個である。
それを考えると、スーパーに並ぶあの卵パックはまさにトリたちの日々の努力の結晶
ぜひありがたみを感じて大事に味わってほしい。


以下はトリ好きによる長ったらしい卵形成の話です。有料素材が手っ取り早くほしい方は最下部へどうぞ…

そしてそんな大事な卵を作るのがメスのトリにある発達した卵巣と卵管である。
トリの仲間は一部の例外(ハヤブサ科など)を除いて左右のうち左側の卵巣のみが発達するので、哺乳類などと比べると、1本だけの不思議な形状をしている。

トリには大きく分けて産卵期と休産期(抱卵期や育雛期など)がある。
産卵期にさしかかると、メスの体内では卵巣と卵管が発達していく。
それだけでなく、肝臓で作られた卵黄のもとが卵胞にたまり、私たちの良く知る卵黄…黄身が作られていく。

一度に複数個の卵黄が発達していき、一番先に大きくなったもの(F1)から順に、毎日ひとつづつ排卵される。
排卵の際は卵胞壁の、血管が少ない薄い場所(スチグマ)から膜が裂けて、卵管の漏斗部で完成した卵黄がキャッチされる。
(年を取ったり何らかの理由があってここで失敗すると、卵墜(つい)がおきる。腹腔内に落ちた卵黄が組織と癒着したり炎症を起こすことで腹水がたまったり、最悪死亡する。)
(時々卵を割ったときに小さい血の塊が入っているのは、卵胞壁が裂ける時に血管が傷ついてしまって混じったもの。特に毒ではないので除けたり焼けば食べられる。)

キャッチされた卵黄は卵管の膨大部(太いところ)に進む。ここで卵白が分泌され、卵黄を包み込む。
つまりたまごの白身というのはニワトリの卵管の分泌液…

次に進むと、ひだのない管、峡部(細いところ)で卵殻膜(ゆで卵を作ると分かりやすい、あの殻の下の白い薄皮)が作られる。

さらにその次、ひときわ太くて分厚い見た目の子宮部で、じっくり時間をかけて(ニワトリなら20時間くらい)硬い殻が作られる。さらにその最中くるくる回ることで卵白が中でねじれてカラザができていく。
(ここでも加齢や問題があると、殻がうまく作られずに中で割れてしまう(破卵)ことや、殻が薄い・柔らかいたまご(軟卵)が出てきたりする。)

ちなみにウズラなど柄のある卵を産む鳥の場合はここの最後の最後に柄がプリントされる。
(ほんとに最後につくので、頑張ってこすると柄は消えます。また、この色素の分泌細胞の配置は親鳥ごとに個体差があるうえ、細胞の場所はそうそう変わらないので、同じ親からは同じ柄の卵が生まれる。)

殻が完成したら、子宮部が収縮&次の膣部がぜん動して、めでたくたまごは外界にデビューする。

ちなみに私達がいただく卵はほとんどが無精卵だが、ニワトリたちも有精卵が産めないわけではない。
有精卵を産むためには受精、そして受精するためのオスの精子が必要である。
鳥類のオスの外部生殖器はそれほど長くないものが多く(一部水鳥などは長い)、交尾しても精液はメスの生殖器の入り口ぐらいにしか入らない。

そこで、注入された精液はいったん膣部と子宮部の間辺りにある精子の貯蔵腺に蓄えられるようになっている。(なお、ニワトリなら2~3週間は保つ。)
その後、必要に応じて精子はさながら川を遡上するサケのように上へ上へ登っていき、ちょうど漏斗部のあたりでキャッチされたばかりの卵黄=でかい卵子…の表面にある杯盤と合体。つまり受精する。
この仕組みのおかげで、オスはわざわざ長い性器を持たずに済んだり、メスも精子を都合がよいときに利用できたり、一回の交尾で複数回の産卵分受精ができるなど、トリにとってはいろいろいいことずくめになっている。

たまごを産む、というたったこれだけのために、生命の神秘がいっぱい詰まっているのである。


おまけ
卵管の各部位の比率(長さ)は、種によってかなり差がある。
上記の図に載っている数字はそれぞれの卵管全長に占める各部位の割合(%)である。
身体の小さなウズラ、大量に産卵するニワトリ、硬い殻の卵を産むホロホロチョウ、なんとなくその特徴の理由が見えてくる気がする。

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