安政5年(1858年)6月 歌川芳虎


子丑寅卯…十二支は暦が昔ほど重要視されなくなった現代でも多くの人に親しまれている文化のひとつである。
毎年なに年だとかで年賀状をかいたり、何年生まれだとか、一周離れてる(=12年離れてる)とか、時には話のネタや占いになったり、方向や時間を示す場面でも使われたりする。
そんな十二支に数えられているのは、子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥(ネズミ、ウシ、トラ、ウサギ、タツ(龍)、ヘビ、ウマ、ヒツジ、サル、トリ、イヌ、イノシシ)の12種で、どれもかつての生活の中で私たち人間に身近だったり縁起が良いと考えられてきた動物たちである。
おそらくほとんどの人は小さいころに「十二支のはなし」という、「新年の朝、神様のもとへやってきた12番目までの動物を、今後1年ずつその年の大将にする」というおふれをうけて、動物たちがどったんばったんおおさわぎしながら競争する(なおネコは卑怯な策にハメられハブにされた模様)という昔話を聞いたことがあるはずである。
当然そんな大層なトッププレーヤーに入った動物というだけでもありがたい縁起の良いものであるのは間違いないが、世の中にはすごい発想に至った人がいたのだ。
それは、「十二支全部合体したら最強じゃね?」という小学生のような純粋なもの。
そしてこの家内安全ヲ守十二支之図は、安政5年(1858年)の6月に歌川芳虎(うたがわよしとら)という浮世絵師が描いた、最強の十二支である。
当時は動物を寄せて何かの形に見立てる絵や現代で言うトリックアートのようなものが「遊び絵」と呼ばれ大衆に親しまれていたそうで、この絵もその一つとされる。
ちなみにこの最強の合体十二支、歌川芳虎以外にも書いている浮世絵師がいるとかで、もしかしたらその縁起のよさから結構人気なモチーフだったのかもしれない。
さて、この最強(略)だが、各動物は以下のように取り入れられている。
頭→ネズミ
トサカ→トリ
角→ウシ
耳→ウサギ
ヒゲ→ヒツジ
首→ウマ
炎→タツ
前脚→イヌ
身体→トラ(の模様)、イノシシ(の毛並み)
後脚→サル
尻尾→ヘビ
頭になぜネズミをチョイスしたのか…おかげで随分とかわいらしい最強(略)になった。
そこもまた斬新で面白く、当時の人々にも刺さったのかもしれない。
今回は歌川版に加えてちょっとリアルに寄せた版も描いてみた。
皆さんもぜひ「僕の・私の 最強十二支」を描いてみてほしい。
思ったより楽しめるし、もしかしたら歌川芳虎や当時の人と同じワクワクを味わえるかもしれない。
あとご利益も。

コメント