有柄目 ミョウガガイ科 カメノテ(Pollicipes mitella)





カメノテのイラスト。
磯の生き物で、無数の個体が密集して生える。
かつては貝の仲間とされていたが、近代ではエビやカニと同じ甲殻類であることが分かっている。
卵から孵化した幼生はエビやカニの幼生と同じ姿をしており、波に揺られながら旅をする。
永住の地となる磯の割れ面などに到着すると変態し、上記イラストのような姿になる。
一度固着したが最後、文字通り一生他の場所へは行けなくなる。
大きさは様々で、小指の爪ほどの大きさのものから大きいもので7㎝ほどになる。
過去には和歌山県で10㎝級のものが発見されたこともあり、寿命ははっきりわからないが人の手が入らない場所で永らえた場合はかなり大きく成長するようである。
ライフサイクルだけでなく形態も不思議で、上半分は貝殻のようなしっかりした硬さの殻に覆われており、その形状が亀の手に似ていることからカメノテと呼ばれる。
殻は複数枚の三角形が組み合わさったような形をしているが、それぞれが花弁のように開く…ことはなく、開くのは上から見たとき真直ぐ入った割れ目だけである。
この隙間から黒い鰓状の脚(蔓脚-まんきゃく)をぴこぴこ出してプランクトン類を捕らえて栄養にしている。
先にも述べたように貝ではないのだが、貝と同じように殻を開け閉めするための貝柱のような筋肉を持つ。
下半分は細かいウロコのようなもので覆われた皮に包まれているが、人の手で容易に剥けるのでそれほど硬いわけではない。
密集して生えている際は隣接する個体のおかげであまり外に触れないので強度はその程度でも十分なのかもしれない。
剥いた中にはウロコ模様が薄く入ったサーモンピンクの筋肉があり、ここが可食部となる。
上半分にある蔓脚も食べられるが舌触りが悪いので人を選ぶ。
つまり可食部はかなり少ない。
だが、採取したものをよく洗って砂を落としてから湯がくと非常に美味な出汁がとれるので、単純な塩ゆでだけでなくみそ汁の具にも重宝される。
生で筋肉部分を食べても良いとされるが、鮮度や寄生虫など衛生面には十分気を付けること。
近年では野食やキャンプが人気を博しており、カメノテもそういった場でそこそこ話題にのぼる。
採取する際はナイフやマイナスドライバーのような先の平たい棒状の物(は具というものに分類される)で抉り取るのだが、地域によっては漁業権の対象(=決められた人しか採ってはいけない)だったり、は具の使用が禁止である場合も多いため注意しなければいけない。
取りたい場合は事前に漁協や組合に問い合わせるか、採取可能な地域を探すこと、そして資源保護の観点から採りすぎないことが大切である。
ちなみに食すのは日本に限らず、遠くスペインなどでもこの種や近縁種が珍重されており、その人気から養殖も行われているようだが、人の手の下で卵から幼生を孵し成長させる完全養殖には技術が不十分らしく、2014年時点では畜養が主であるという記述があった。
そこで海外では幼生に適した海流・塩分濃度・水温・定着場所などについて様々な研究が行われているようなので、現在ではもしかしたら状況が変わっているかもしれない。

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